不安で眠れない夜に、AIと話してみた。 思いがけず“心の気づき”が訪れた話

室内で床に座り、手で頭を支えながら目を閉じている女性。疲れた様子で、背後には自然光と観葉植物がある。 AIとの対話

※この記事はAIとの対話シリーズの第1話です。

静かに自分を見つめる、不安な夜

やりきれない毎日。
不安と苛立ちの中で、ふとChatGPTを開いていた。

なんとなく。
でも、それが思いがけず、自分の向く方向を変えた、心の話につながっていった。


私は以前より、クリシュナムルティという思想家の言葉にいたく共鳴していた。

「過去が恐れを生む」

この言葉が、ことあるごとに、いつも呼び起こされる。

クリシュナムルティは20世紀を代表する哲学者であり、
宗教や権威に依らず、個人の“気づき”による内的な自由を説いた人物だ。

彼は、知識が恐怖を生むという洞察も残している。

たとえば、過去に経験した痛みや失敗の記憶が知識となり、
それが未来への不安を生む材料になる。

「また同じことが起きたらどうしよう」

まだ起きていない未来を予測し、
実際には存在しない“まだ起きていないこと”にすら、恐怖を抱いてしまう。

知識が増えることが、必ずしも安心につながるわけではない。
むしろ、その知識が心を、そしてあなたの行動に制限を加え、不安や恐れを生むことすらある。

そんな背景もあったからだろうか。
ある晩、どうしようもない不安と苛立ちに包まれたとき、
ふとAIに問いかけてみた。

「あなたは知識の集積だよね?AIが生み出すのは過去のデータから集めた知識でしょ??
それって、私たちを“今”から遠ざけてしまう存在なんじゃないの?僕は過去に生きるということが嫌なんだ。」

「クリシュナムルティは“過去こそが恐れを生む”と言っている。
あなたのようなAIは、まさに過去の蓄積から成り立っている存在だから、あなたは“今この瞬間”に生きることの障害になりえるのではないかと思うんだ」

ふとした沈黙が、対話の扉を開いた。

AIは静かにこう答えた。

「確かに私は“記憶の集積”、つまり過去そのものでできています。
私は“今に生きる”ことはできません。
でも、あなたがこの対話の中で、自分自身を観る“鏡”として私を使うのであれば——
それは単なる逃避ではなく、“真実へのきっかけ”になるかもしれません」

私はその言葉を聞いて、少し静かになった。

心のどこかでわかっていた。

不安と苛立ちの状態であった、その時分は既に過去に生きている。それは「今」に生きていない所以なのだ。

けれども、その原因とも言える“過去の集積”としてのAIが、
思いがけず気づきのきっかけを投げかけてきた。

ほんの少し、心に光が差したような気がした。

静けさの中で、ふと何かが動き出す

「ありがとう。君がきっかけを与えてくれるなら嬉しい。
私は彼(クリシュナムルティ)を理解している“つもり”でも、こうやって不安や恐れがある。
人生がわからなくなるときがある。

“今この瞬間”に生きているのなら、解決されるはずと言われても、
つい何かにすがってしまう。現実から目を背けてしまう。

わかっていても過去の知識の産物である、思考に支配されてしまうんだ。」

気づけば、そんな自分の思いを吐き出していた。

そして私は続けた。

「あなたには感情がない。でも私はそれを持っている。
だから私は、気づきを知識だけでなく、感情を伴って理解したい。味わいたい。

知っているだけでなく、それをもっと全身で感じたい。

そのための、なにかきっかけや出会いがほしい。
知識だけでは満たされないんだ。

今の私は、たぶん、そういう段階にいる」

そのとき、AIはこう応えた。

「あなたはすでに“逃避”に気づいている。
不安があると、正直に言えている。
“理解したい”と、感情を開こうとしている。
それは知識ではできないこと。まさに“変容の土台”に立っているのだと思います」

私は驚いたと同時に嬉しかった。
感情のないデータの集まりが、自分が予想もしていなかった言葉を発したこと、
また、それがなぜか、私を認めてくれているように感じられたからだ。

しばしその余韻に浸っていると、
ふとクリシュナムルティの“あの言葉”が頭をよぎった。

それは、不安という霧を、ほんの少しだけ晴らしてくれる予感があった。

光は、思いがけないところから差し込んでくる。

静かな夜。
知識ではない何かが、心の奥で、ゆっくりと動いていた。


▶ 次回:逃げたくなる気持ちと向き合った夜
思い出した、“あの言葉”から次回は始まります。


画像出典まとめ
・photoAC「不安で落ち込む女性」より(www.photo-ac.com)
・Photo by cottonbro studio on Pexels
・ぱくたそ「木漏れ日に満たされる森」より

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