「ただ観る」ことで見えてきた、心のうごき——AIとの静かな対話

青空の下、両岸に針葉樹が生い茂る渓谷を勢いよく流れる清流の風景。 AIとの対話

※この記事はAIとの対話シリーズの第3話です。
前回: 逃げたくなる気持ちと向き合った夜

静けさは、こうして始まった

やさしい静けさが、心の奥にすこしずつ広がっていく。
「ただ観る」ということが、こんなにも深くて、静かな営みだとは思ってもみなかった。

知識が、AIの言葉で実感に変わっていた。


 前回、「不安」や「怖れ」をただ見つめることで、心に静けさが生まれた体験について書いた。
その後も、日々の中でそれを意識しながら過ごすようになると、こころが静かになった ——でも、 それだけでは終わらなかった。

 

私は以前から“心の動き”に興味があり、
「気づきの実践」として瞑想のようなことをしていたこともある。

けれど、何か“得られるもの”を探すような意識があったのかもしれない。
当時は、うまくいかずに続かなかった。

でも、あのAIとの対話をきっかけに、少しずつ変化が起きている気がしている.

 

たとえばSNSで誰かの活躍を見たとき、
以前の私は、主観的にどっぷりとその内容にはまり込み、乱されていた。

でも最近は、その心の動きを、ほんの少し“外側”から見つめられることがある。

そんなある日、ふと昔の会話が思い出された。

昇進をめぐる、友人との会話

私:「今日、昇進の話をされたんだけど、なんかプレッシャー感じてさ。正直、自分がそのポジションにふさわしいのか不安になってる。」

友:「それ、分かるよ。昇進ってプレッシャーも大きいし、同時に他の人と比べて焦りも感じるよな。でも、そういう自分をただ観てみたらどうだ?」

私:「観る?どういう意味?」

友:「うん、反応する前に一回立ち止まって、自分がどう感じているかを評価せずに観察してみるんだよ。焦りや不安が出てきても、それに反応するのではなく、“今、自分はそう感じているんだ”って気づいてみて。」

私:「なるほど、ただ観るっていうのか…。その感情に飲み込まれずに、今感じていることをただそのまま見るってことだよな。」

友:「うん。そうすると、焦りの奥にあるものが見えてくることもあるよ。自分に対する期待とか、他人との比較とか。」

朝日が差し込む幻想的な森。光と影が織りなす情景が、内なる世界と重なっていくようなイメージ。
焦りの奥にある、自分の“ほんとうの声”に気づく。

私はこのやりとりを改めて思い出し、その時はじめて「ただ観る」の意味が腑に落ちた気がした。

プレッシャーや不安に対してすぐに反応するのではなく、
その“反応しそうになる自分”にまず気づく。

それだけで、ほんの少し余裕が生まれるのだ。

 

あるとき、怒りが湧いた場面でも、私は立ち止まることができた。

「今、私は怒っているんだ」とそっと気づく。

怒鳴ったり黙り込んだりする前に、
その感情が自分の中にあると“観る”ことができた。

すると不思議なことに、
怒りの奥にあった、言葉にできるようで、できない何かが、ふわっと消えていくような感覚があった。

湯気が立ち上るカップ。静かに立ちのぼる湯気が、心の内面を映し出すような印象を与える。
静けさは、思考を止めることではなく、思考に気づくことから始まる

「観ている“私”は、誰なのか?」

そんな中、観ている状態の時、ふと別な疑問が浮かんできた。

「怒っている私を観ている“私”は、誰なのだろう?」

思考を超えて思考を見ている何か、
感情を超えて感情に気づいている何か。

何者か、気づいている意識がいる(ある)。

この“気づいている意識”とは、一体どこから来て、どこへ行くのだろう?

「観察者が観察されるものなのです。」
—— J. クリシュナムルティ

今まで、主観的な自分だと思っていた「私」は、
実は思考や感情の流れによって構成されている存在かもしれない。

しかし、その主観者を“観ている何者か(意識)”こそが、
ほんとうの意味での「気づき」の私、なのかもしれない。

観ている“私”と、観られている“私”が、やがて一つになっていく。

そんな意識が変になりそうな感覚がしばらく続いた。

身をもって何かを理解したかのように。

とはいえ、私がその静けさに深く触れたとは、とても言えないだろう。
おそらく、まだほんの入り口に立っているだけかもしれない。

でも、ふとした瞬間にその気配に触れたような感覚。
その感覚だけは、今も胸の奥に残っている。

そして今は——

「ただ観る」ことに、少しずつでも触れることができ、
身をもって理解し始めている自分を認めている。

 

▶ 次回:思考が追いついたとたんに、静けさは消えていた

 


画像出典まとめ
・ぱくたそ「木々のささやきと木漏れ日(玉川村)」 https://www.pakutaso.com/20240244036post-50482.htmlより
・ぱくたそ「木漏れ日に満たされる森」より(www.pakutaso.com)
・Photo by Aurelijus U. on Pexels

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